退職時のルールと手続き

辞意はまず上司に伝える

会社を辞める決心をしたら、まず直属の上司に伝えましょう。主任や係長でなく、所属するセクションの課長クラス、営業所であれば所長クラスが望ましいでしょう。同僚などに、辞めたがっていることを話すのは絶対に禁物です。

「退職願」は意思表示のあとで

上司に辞意を伝え、納得してもらえたら「退職願」を書きましょう。いきなり「退職願」を提出するのは、有無を言わさずといった印象を与えます。

退職理由は個人的事情にする

たとえどんな理由であっても本音を言ってしまうとカドが立つ場合もあります。あくまでも個人的な事情を退職の理由にしましょう。

退職願の書き方【図1】

退職願の書き方【図1】

上司に辞意を伝え、納得してもらえたら「退職願」を書きましょう。いきなり「退職願」を提出するのは、有無を言わさずといった印象を与えます。

- 用紙・筆記用具
社内に規定の書式や用紙がなければ、便箋は白の無地をつかいましょう。黒の万年筆か細字のサインペンで、縦書きに楷書で書きます。
- 書き出し
「私は」の書き出しは謙譲の意味を込めて行の一番下から始めます。「私儀」、「私事」という表現もあります。
- 退職理由は形式に
「一身上の」とするのが普通です。詳しい事情がある場合は、上司に口頭で伝えましょう。
- 退職日
提出する1ヶ月後をメドに、月末や、会社の給与締め切り日等の区切りのいい日がよいでしょう。
- 届け出年月日
退職願を上司に提出する日。
- 宛名
提出するには直属の上司でも、宛名は会社の最高責任者、つまり社長宛に。敬称は「殿」に。
- 署名・捺印
所属部を記入。捺印も忘れずに。

引継ぎ事項は文書化する

業務引継ぎの基本は、可能な限り細かく、正確に後任者に伝えることです。項目別に整理したり、日時を追って整理するなど、わかりやすく文章にして残しておくことも必要でしょう。

取引先に後任者を紹介する

取引先への挨拶、後任者の紹介も、引継ぎの重要な役目です。取引先には、後任者が信頼のおける人物であることを口添えして、今後とも変わりない付き合いをお願いしましょう。

退職時に会社から受け取るもの

  • 雇用保険被保険者証(退職時に受け取り、転職先に提出します)
  • 離職票(退職10日以内に郵便か受け取りに行く。雇用保険受給手続きに必要、転職先が決まっている方は必要ありません)
  • 年金手帳(退職当日に受け取り、転職先でも同じものを使用します)
  • 源泉徴収票(退職当日か年末調整までに受け取り、所得税の年末調整に必要、転職先に提出します)

退職時に会社に返却するもの

  • 健康保険証
  • 在籍証明書、社員証、名刺(仕事上で交換した名刺も含む)
  • 制服(クリーニング済)
  • 事務用品、資料、鍵、備品等

雇用保険の手続きをする

退職後はできるだけ早く居住地の職業安定所で手続きをしましょう。
受給手続きに必要なものは

  1. 雇用保険被保険者証・離職票
  2. 住所・氏名・年齢を証明できるもの(運転免許証・住民票など)
  3. 写真(タテ3cm×ヨコ2.5cm)・印鑑(認印でも可)です。

1日あたりの基本手当ては離職前6ヶ月間の給与(ボーナスを除く)の総額を180日で割った額(賃金日額)をもとに、試算式にもとづいて算出され(60歳未満の場合)賃金日額の5~8割位です。

  • 給付日数(受給資格を確認する)

基本手当の計算式

賃金日額×給付率=基本手当日額

  賃金日額 給付率
60歳未満 2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上12,220円以下 80~50%
12,220円以上(上限14,620円※) 50%
60歳以上65歳未満 2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上10,950円未満 80~45%
10,950円以上(上限15,580円) 45%

60歳未満

賃金日額 給付率
2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上12,220円以下 80~50%
12,220円以上(上限14,620円※) 50%

60歳以上65歳未満

賃金日額 給付率
2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上10,950円未満 80~45%
10,950円以上(上限15,580円) 45%

※30歳以上44歳までの場合。
30歳未満は13,160円が上限。
45歳以上60歳未満は16,080円が上限。

失業給付金を受けられる期間と日数

離職日の翌日から1年間(受給期間内)の失業している日について、所定給付日数(下表)を限度として、失業給付金が受給できます。
1年間の受給期間が過ぎると、給付日数が残っていても受給できなくなります。

失業給付が受けられないケース

  1. 結婚して家事に専念する。
  2. 農業、商業などの家業に従事する。
  3. 学業に専念する。
  4. 再就職が既に決まっていて、安定所の就職あっせんを要しない。
  5. パート、アルバイト、試用期間等であっても、すでに働きはじめている。
  6. 自営業を開始している。(開始しようとしている)
  7. 派遣会社へ登録をして、派遣雇用契約を結んでいる。
  8. 病気等のため今すぐ働く事ができない。
  9. 定年退職後でしばらくの間休養する。

基本手当の所定給付日数一覧表(短時間労働被保険者も同様)

一般の離職者の場合

離職時の満年齢 被保険者であった期間
10年未満 10年以上20年未満 20年以上
65歳未満の全ての年齢 90日 120日 150日

特定受給資格者の場合

離職時の満年齢 被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

障害者等の就職困難者

離職時の満年齢 被保険者であった期間
1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日

受給期間延長の例

失業給付は、ただ「仕事を辞めた」だけでもらえるものではありません。
まず原則として、退職の日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あることが必要です。さらに、働きたいという意思があり、いつでも働ける能力がありながら、仕事につくことができない状態の場合に基本手当が支給されます。ですから、退職時に次の仕事がすでに決まっている場合は、基本手当を受けることができません。

ケース1 病気のために受給期間延長の申請をした場合

ケース2 定年退職後、しばらく再就職を希望しない場合

受給期間延長申請の手続きのポイント

病気やけが、出産などですぐに働けない場合、働く意思はあっても、労働の能力がないと考えられますので失業状態とはいえません。このような場合は、前もって受給期間を延長しておき、現在の問題が解決して働ける状態になってから、失業給付を受けることができます。
働きたいという意思は、住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)で「求職の申込み」をすることによって確認されます。

延長理由 病気・ケガ・妊娠・出産など 60歳以上の定年による離職
提出期限 1年離職日の翌日から30日過ぎた日から1ヶ月以内未満 離職日の翌日から2ヶ月以内
延長期間 最長3年間 最長1年間
申請に必要なもの 離職票-1 離職票-2(会社から交付を受ける)
受給期間延長申請書(用紙は公共職業安定所でもらう)
印鑑
提出先 住所地を管轄する公共職業安定所

医療保険の手続きをする数

退職と同時に、健康保険の対象外となります。任意継続被保険者制度の手続きをするか、国民健康保険に加入しましょう。

年金の手続きをする

会社に勤めている人は、厚生年金保険と同時に国民年金にも加入しています。
このうち、国民年金は満20歳以上60歳未満の国民全員に加入が義務づけられていますから、退職しても国民年金に加入して保険料を支払わなければなりません。年金手帳と印鑑を持参して、居住地の役所・役場の国民年金窓口で手続きしてください。保険料は一律で毎年引き上げられている仕組みになっています。

所得税の手続きをする

1年間に、1ヶ月でも失業すなわち無収入状態があれば、その年の税金は納めすぎになります。返却してもらうよう手続きをしましょう。
年内に再就職した場合は、年末調整を受けましょう。
年内に再就職しなかった場合は自ら確定申告してください。また、退職金にも所得税がかかりますが、大きな控除枠が設けられていますから、よほど多額の退職金でない限り結果的に非課税となります。

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